栗生流とは

栗生の契約講

廣瀬村栗生部落契約組合規約

第一条

本組合ハ廣瀬村栗生部落契約組合ト称ス

第二条

本組合員ハ共同一致ヲ以テ事ヲ處シ組合ニ関スル意思ノ疎通ヲ圖ル以テ目的トス

第三条

本組合ノ事務所ハ組合長宅ヲ以テ充用ス

第四条

本組合ノ事務ヲ處理スル為ニ左ノ役員ヲ置ク
一、組合長壱名一、副組合長壱名
一、評議員四名トス
但シ組合長ニハ時ノ区長ヲ以テ之ニ充テ他ノ役員ハ総會ニ於テ之レヲ選任ス

第五条

役員ハ何レモ無報酬トシ任期ハ四ヶ年トス
但シ再選ヲ妨ゲズ役員中欠員ヲ生ジタル場合ハ総會ニ於テ之ヲ補選シ其任期ハ前者ノ残任期間トス

第六条

組合長ハ組合ヲ代表シ諸般ノ事務ヲ総理ス 副組合長ハ組合長ヲ補佐シ組合長事故アル時ハ之ヲ代理ス 評議員ハ組合長ノ諮問ニ應ジ事故アル時ハ之ヲ代理ス 評議員ハ組合長ノ諮問ニ應ジ事件ヲ評決ス 但シ評決シタル事件ハ総會ニ於テ報告スルモノトス

第七条

本組合ノ會合ハ総會及評議員會ノ二種トス
総會ハ毎年二回（旧二月十日、旧十月十日）トシ評議員會ハ必要アル場合何時ニテモ組合長之ヲ召集ス
但シ會議ハ組合員過半数出席スルニアラザレバ開會スル事ヲ得ズ総會ノ會合時間ハ当日ノ午后壱時トス

第八条

凡テ決議事項ハ多数決ニ因ル

第九条

本組合ノ事業ハ左ノ各項ニ依ルモノトス
一、組合員ノ親和ヲ旨トシ一致ノ歩調ヲ以テ漸進スルモノトス
一、農蚕業ノ発達改善ニ努力スルコト
一、森林ノ養成植栽ヲ計ルコト
一、災害ノ防止警戒ニ努ムルコト
一、組合員中家屋ノ新築及修繕等ノ場合ニハ組合内ニ依頼シ援助ヲ受クルコト其ノ依頼サレタルモノハ極力之ヲ手傅フコト
一、冠婚式又ハ佛事ノ法要等ノ場合ハ右ニ同ジ
一、各自手傅等ノ場合ハ誠実ヲ以テシ其賄ハ節約実行組合事項ヲ準用ス
一、組合員中不時ノ災害ヲ蒙リタル時ハ組合長ノ命ニ因リ之ヲ援助スルコト
一、組合員ニシテ農作物林野ノ盗害ヲ見聞シタル時ハ直チニ最少限度ニ防止シ役員ニ申告スルコト
一、前項ノ場合之ヲ密カニ葬ラントスルモノアル時ハ同一犯ト見倣スコト
一、凡テ組合員ノ福利増進ヲ妨ゲルモノト思意スル事柄ハ極力防止スルコト

第十条

前条各項ニ関スル裁決ハ評議員會ニ於テ評決ス

第十一条

組合ノ會合手伝時間ノ指定シタルモノヲ確守スルモノトス
指定時後三十分ヲ経過シタルモノニハ特ニ過怠料トシテ清酒壱升ヲ提供セシムルモノトス◯ヨリ以之過ギタルモノニハ評議員會ノ評決ニ因リテ處決ス

第十二条

事件発生シテ評議員會開催ノ必要アルモ総會ノ近ツキタル時ハ急ヲ要スルモノノ外総會ニ於テ之ヲ裁決スルモノトス

第十三条

本規約ニ不備ノ点又ハ改正ヲ要スル時ハ総會ニ於テ決議ヲ経改廃スルコトヲ得

第十四条

本組合ノ會議ハ凡テ組合長ヲ以テ会長トシ第四条ヲ準用ス

第十五条

本規約ハ大正拾四年旧二月十一日ヨリ施行ス

【附則】
本規約ヲ確守スル證トシテ茲ニ署名捺印ス
大正拾弐年旧弐月拾日
組合長
副組合長
評議員　四名
組合員　二十四名（役員六名を含む）

（氏名　　　　　　　　印）

註　結婚式は地域住民の協力と援助による大きな行事で、式での「謡上げ」で謡われる「四海波」「高砂」などは、嫡男に伝え継がなくてはならないものだあった。